【salon】仏教と科学のサロンは「理念が先か?行動が先か?」

気が付けばあと1回で20回目を記録するのですね、仏教と科学のサロンも!毎度有難うございます。

今回のテーマの要諦は、「小難しい理念が分かってから、それを実現するために実践に移す」という分かりやすい方法論だけではなく、むしろ「まず実践をしてみてから徐々に理念に追いつく」というスタイルの効用を考えたものでした。鎌倉時代に登場し、日本の土壌に深く根付くこととなった禅宗、浄土教、日蓮宗派が、「座禅」や「念仏」や「題目」という「(一点突破型の誰でもできる)実践」をまず徹底することを推奨し、その真新しさが非常に「バズった」史実が好例ですね。ここに、身体性認知科学の「行動が先か、認知が先か」の実験結果なども加えて、楽しく議論しました。結論は、「どちらも大事」ということですが。

そして、特に浄土真宗の根幹である「念仏」を「まず実践する」ということに関しては、光輪さんから歴史的な概要が説明されました。以前は4種類の念仏(四種念仏)があり、上から下へ易→難の順番とされましたが:

  1.称名念仏(阿彌陀仏の名号を口に唱える; 口称念仏)
  2.観像念仏(阿彌陀仏の形相、相好を心に浮かべ念ずる)
  3.観相念仏(西方浄土を心に念じること)
  4.実相念仏(阿彌陀仏の法身~悟り・真理そのものの~を心に念じること)

日本では浄土宗の法然上人が、1のみを徹底すればよいと「専修念仏」を説いたことで、その後に続く浄土真宗の親鸞聖人も口称念仏1本に徹底することになります。「1から始めて4へ至る」という従来のコンセプトはさほど踏襲されず、1で始まり1で終わる、というスタイルの登場です。とは言っても21世紀には、逆にその単純さが現代人の心に疑念を生み出している可能性もある。やはり、多くのチャンネルを使い仏道を極めていくことが肝要なのだろう、との確認で、会が終わりました。

では、次回は5月20(金)のサロンにてお会いできるのを楽しみにしております。