【salon】第29回「仏教と科学のサロン」テーマは「刹那滅」でした

「刹那滅」来ましたね!これまでのBSサロン(仏教と科学のサロン)でも何度もちらちらと登場したコンセプトですが、テーマにしたのは初めてだったかも知れませんね。やはり、中々難しい、対談者たちにとってもまさに「雲をつかむような」ものだったのですが、最後にはきちんと、「では、それを踏まえて日常生活で気を付けること」にまで何とか持って行くことができたのでは、と思います。

大きなtake-away(講義などから持ち帰ることのできる「おみやげ」)としては、「選択肢の呪い」に関するものでした。あまりに目の前の選択肢が多すぎると、人は意思決定に困難を感じ、よしんば選べたとしても、満足感が少なく、また、結果が裏目に出ると大きな後悔を感じる、という認知科学的な意思決定研究での知見があります。同様に、あまりに我々が、「未来にはどんな選択肢があるのだろうか?」、「過去にはどんな選択肢があったのだろうか…」と「いま・ここ」に注意を向けずに漫然と考えていても、凹んだり身動きが取れないだけなので、「一瞬・一瞬で時間は明滅している」とする刹那滅に則り、「いま・ここ」に最善を尽くし、選ぶことで、よりよい人生になるのでは、ということです。

また、そうやって、「よい意味でまずは精選された選択肢をとる(そして、慣れてきたらより広く採用すればよい)」ことから始めることの効用についても、原始仏教や部派仏教(特に説一切有部)、真言密教などの平安仏教、そして浄土教などの鎌倉仏教を例に挙げ比較しつつ、議論がなされました。祖師方が様々に工夫されてきた我々への選択肢の与え方にも思いを馳せると、また興味深いものです。

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